自主的婚活のススメ
(2020年9月7日更新)
■この記事を読むと以下のことがわかります
→自主性に欠ける婚活は本人を含めて誰も幸せになれない、ということ
近頃では親が子供の大学の入学式・卒業式に出席するだけでなく、会社説明会や入社式にまで同伴するケースが増えているそうです。
じつは婚活の世界でも「親活」といって、親が子供の結婚に積極的に関わる案件が増えています。
「親活」では適齢期を迎えても結婚に関心を示さなかったり、異性との交際経験がなく積極的になれない子供に代わって「親が婚活」をするのだそうです。
子供のプロフィールをお互いの親が持ち寄り、よい相手がいればお見合いのセッティングやデートする店の予約にいたるまで、子供に代わって行います。
婚活の時間的・心理的な負担を肩代わりすることで本人の婚活のハードルを下げてあげたい、という親心からくる純粋な行動なのでしょう。
親は結婚をすすめるが、息子さんは?
品の良い60代前半の女性が息子さんの結婚の相談にいらっしゃいました。
聞けば、息子さんは仕事がとても忙しく相談に来られないとのことで、お母様からお話をお伺いすることになりました。
「息子は一部上場企業で働いておりまして、お給料も十分もらってます。小さい頃から頑張り屋さんで一流大学を卒業いたしました。できれば息子のレベルに合った、若く可愛らしいお嫁さんが来てくださったらと思っております」
と、お母様ご自身が息子さんに見合う相手を探したいご様子でした。
息子さんの年齢は43歳。
適齢期は少し過ぎているものの自慢の息子さんとお見受けしましたので、
「息子さんの経歴などはよくわかりました。ご本人様の結婚観やお相手に希望される条件を確認しておきたいので、よろしければ面談をさせていただけますか」
とお話しました。
息子さんの婚活をサポートするためには、私自身が息子さんの人となりを把握しておく必要があります。
どんな結婚を望んでいるのか、正直ないまの気持ちをお聞きしたいので直接お話させて下さいとお伝えしました。しかし、息子さんは仕事が忙しくそんな時間は取れないとのお母様のお返事でした。
「ご自宅からテレビ電話で面談することもできます。お仕事後の遅い時間でも対応いたします、とご本人様にお伝え下さい」
とzoomを使ったオンラインカウンセリングを提案しました。
「なんとか息子に話してみます」と、お母様は、少し困ったような曖昧な返事をされて帰って行かれました。
後日、お母様がいらしたので面談の件をお尋ねしたところ、息子さんは自分から積極的に婚活する気はないとのこと。
お母様が息子さんに合う相手を選びながら、本人に結婚を勧めていきたいとのご要望でした。
本人に結婚の意思がない婚活は成功しません。
現状では入会条件を満たさないため、お断りするしかありませんでした。
自主性のない婚活は成功しない
あなたはこの話を読んでどのように感じたでしょうか。
この件から私がお伝えしたいのは、少しでも本人に結婚の意思があるのなら、婚活を親任せにすべきではない、ということです。
理由は、親任せの婚活は成功率を限りなくゼロに近づける非合理的な手段だからです。
当相談所からの紹介でも親が選んだ相手を子供が快諾するのはごく稀で、紹介しても本人が気に入らないの繰り返しで、婚活者にとってもっとも貴重である時間が浪費されます。
親は本人の結婚に対する希望を完全には把握できず、どうしても相談所を含めた三者間で行き違いも生じます。
また、そもそも自分の人生における重要な選択である結婚を親任せにするような、他力本願で人生に向き合う姿勢が受け身な人を「パートナーとして受け入れたい」という異性がいません。
子供を心配するあまり、本人の代わりに相手を探したり、お見合いのセッティングをしたり、交際を進めるかどうかまで親が先んじて決定しようとする。
もし本人まで何ら疑問を抱かずにそんな婚活を続けようものなら、確実に出会った相手を不幸にします。
仮に結婚しても幸せな結婚生活を営むビジョンは見えません。
婚活とは、自分自身がどんな人と結婚したいのか、またその相手に合わせて自分自身を変えたり、うまくいかなければ対策を重ねるといったプロセスを経て、自主的に成婚を手繰り寄せる行為なのです。
まとめ
親が子供の将来を心配するのは当たり前です。
婚活の説明会などに親が参加して、結婚のきっかけとなる話題づくりをされるのはいいでしょう。
しかしながら、真に子供の結婚や幸せを望むのなら、本人が自主的に将来に向き合えるように一歩引いた立場から自立を促すのが、親の立場からできる精一杯の「親活」だと思います。